【公開】FSSC22000 version 5.1要求事項の日本語翻訳版

FSSC HACCP

✔ 本記事のテーマ

2020年11月にFSSC22000 version5.1が発表されました。この記事では、日本語に翻訳したversion5.1要求事項を参照する事ができます。


記事の信頼性

この記事を書いている私は、FSSC認証の審査員で、年間100日以上の審査を実施しています。

*2021年1月現在、FSSC22000 version5.1の日本語版はありません。この記事は私が翻訳した内容です。正式なものではありませんので、悪しからずご了承ください。

はじめに

FSSC22000は、2019年にversion4.1 2020年にversion5、そして2021年4月からversion5.1のバージョンアップ(移行)が行われます。食品安全に対する世の動向を鑑み、今後も定期的に規格の改定が行われる事が予想されます。認証を取得しているみなさまにおいては、機動的に新たな要求事項を自組織に落とし込んでいかなければなりません。この翻訳記事を是非、お役立てください。

Version5.1の要求事項は、FSSC財団のホームページで確認する事ができます。

追加要求事項はFSSC 22000 version 5.1のPART2の2.5に記載されています。

追加要求事項は以下の通りです。

2.5.1 サービスおよび購入材料の管理

a)ISO22000:2018の7.1.6の要求事項に加えて、組織は、ラボ分析サービスを、食品安全の検証または 妥当性確認に用いる場合、それらのラボ分析サービスは、(内部実施及び外部実施両方の場合を含め)、正確で再現性のある結果方法及びベストプラクティスの方法で行われなければならない(例えば、外部専門プログラムに参加、規制当局認証のプログラム、ISO17025認証を受けている)


b)フードチェーンカテゴリ―C,D,I及びKは、ISO22000:2018 7.1.6に以下の追加要求事項が適用されます。
組織は、緊急事態の調達品が、仕様に適合し、サプライヤーが評価されていることを確実にする文書化された手順をもたなければならない

c)ISO/TS22002-1要求箇条9.2に加え、組織は、動物、魚、シーフードが禁止物質(例:医薬品、動物用医薬品、重金属と農薬)が管理対象となる購買方針を持たなければならない

d)フードチェーンカテゴリーC,D,I及びKは、ISO22002-1の要求事項9.2;ISO22002-4の4.6 及び22002-5の4に、次の追加要求事項が適用されます。
組織は、製品仕様に対して、食品安全、法令、顧客要求に継続的に適合することをレビューするプロセスを確立し、実施し、維持しなければならない。

2.5.2 製品のラベリング

ISO22000:2018の要求事項8.5.1.3に加え、組織は、販売を意図している国における、アレルゲン及び顧客の特定要求事項を含めた適用される法令及び規制要求事項に従った最終製品へのラベル付けを確実にしなければならない。

製品にラベルを貼り付けない場合、顧客及び消費者によって、食品の安全な使用が確保されるよう全ての製品情報が利用可能な状態にしなければならない。

2.5.3 食品防御(フードディフェンス)

2.5.3.1 脅威評価

組織は、以下の文書化された手順を持たなければならない
a)潜在的な脅威を明らかにし、評価を実施する
b)大きな脅威に対して、緩和策を確立、実施する

2.5.3.2 計画


a)組織はFSMSの適用範囲内のプロセス及び製品をカバーする緩和策が特定された文書化された食品防御計画を持たなければならない
b)食品防御計画は、組織のFSMSによって支えられなければならない
c)計画は、適用される法令に適合し、最新の状態に保たなければならない

2.5.4 食品偽装の軽減

2.5.4.1 脆弱性評価

組織は以下の文書化された手順を持たなければならない
a)潜在的な脆弱性を特定するための食品偽装の脅威評価を実施する
b)大きな脆弱性に対して、緩和策を確立、実施する

2.5.4.2 計画

a)組織はFSMSの適用範囲内のプロセス及び製品をカバーする緩和策が特定された文書化された食品偽装防止計画をもたなければならない
b)食品偽装防止計画は、組織のFSMSによって支えられなければならない
c)計画は、適用される法令に適合し、最新の状態に保たなければならない

2.5.5 ロゴの使用

a)認証された組織、認証機関、トレーニング機関は、FSSC22000ロゴを組織の印刷物、ウェブサイトおよび他のプロモーション素材のようなマーケティング活動にのみ用いなければならない
b)ロゴを使用する場合、組織は、以下の仕様に適合しなければならない:

他の全ての文字や図が白く黒の場合にのみ、白黒(モノクロ)でのロゴ使用ができる
c) 認証された組織は、以下においてFSSC22000ロゴの使用はできない
i. 製品
ii.ラベリング
iii. パッケージング(一次包装、二次包装または他の形態含め)
iv.FSSC22000が製品、プロセスまたはサービスを承認することを意味するような使用方法

2.5.6 アレルゲンの管理

組織は、以下を含む文書化されたアレルゲンの管理計画を持たなければならない
a)アレルゲンの全ての潜在的な交差汚染の元を含めたリスク評価を実施する
b)交差汚染のリスクを減らし除去する管理処置

2.5.7 環境モニタリング

a)リスクベースの環境モニタリング計画
b)最低限、微生物及びアレルゲンの管理の評価を含む、製造環境からの交差を防ぐ全ての管理の有効性の評価を行う文書化された手順
c)定期的な傾向分析を含むモニタリング活動のデータ

2.5.8 製品の配合

組織は、動物の健康に悪影響を与える可能性のある栄養素を含む成分の使用を管理する手順をもたなければならない

2.5.9 輸送と配送

組織は、製品が、潜在的な汚染を最小化する条件下での輸送及び配送を確認しなければならない

2.5.10保管および倉庫保管

a)組織は、FIFO及びFEFOの規定を含む、在庫のローテーションシステムを確立、実施及び維持しなければならない
b)ISO22002-1:2009の要求事項16.2に加え、組織は、製品の冷却または凍結に関連して、屠畜後の時間と温度を定義する特定の要件を定めなければならない

2.5.11交差汚染を防止するためのハザードコントロールと対策

a) フードチェーンカテゴリーIについて、ISO22000:2018 8.5.1.3に以下の追加要求事項
 ・ 組織は、包装が食品に対して機能的効果を付与(例:賞味期限の延長)する包装が行われる場合、特定された要件を持たなければならない
b) フードチェーンカテゴリーCI ISO22002-1:2009要求事項10.1に以下の追加要求事項
・ 組織は、動物が人間の商品に適していることを確認するための、飼育 及び/または 内臓摘出時の検査プロセス

2.5.12 PRP検証

フードチェーンカテゴリーC,D,G,I&Kは、ISO2018:の要求事項8.8.1に以下の追加要求事項
・組織は、定期的にサイト(内部及び外部)、製造環境および製造設備が、食品安全に適した状態であることを検証するための検査/PRP確認 を確立、実施及び維持しなければならない。検査/PRP確認の内容及び頻度は、サンプリング基準及び関連する技術仕様に関連するリスクベースに基づいたものとします。

2.5.13 製品開発

製品の設計及び開発手順は、 新製品及び製品または製造プロセスの変更が、安全で法令に適合した製品であることを確実にすることを確立し、実施し、維持しなければならない。以下を含めなければならない
a)新たな製品がある場合、HACCPプラン(フローダイアグラム、ハザード分析、管理手段等)を更新する仕組みが必要です。
b)既存工程・材料に影響がないか(例:交差汚染)を考慮する必要があります。
c)必要に応じ、専門トレーニング(教育訓練や力量化)を設定します。
d)

装置及びメンテナンス要件


e)シェルフライフ試験を実施します。

2.5.14 健康状態

ISO/TS 22002-6の要求事項4.10.1に加え、組織は、個人の健康が、飼料の生産に悪影響をあたえることがないようにするための手順を持たなければならない。国の法規制に従い、文書化された危険性または医学的が別の方法で実施されない限り、従業員は、雇用前に健康診断を受けなければならない。許可されている場合、追加の医学的な検査は、必要に応じて組織によって決められた間隔で実施されなければならない

2.5.15 マルチサイト認証を取得している組織の要求事項

2.5.15.1 本社機能(中央機能)

a) 本社機能のマネジメントは、十分なリソースが利用可能であり、マネジメント、内部監査員、内部監査をレビューする技術職員及び他の重要なFSMSに関連する人員の役割、責任及び要件を明確にしなければならない。

2.5.15.2 内部監査の要求事項

a) 内部監査手順及びプログラムは、マネジメントシステム及び本社機能及び全てのサイトをカバーした本社機能によって確立されなければならない。
b)マネジメントシステムは、リスクベースで、本社機能及び全てのサイトが少なくとも年に1回または、それ以上の頻度で実施しなければならない。
c)内部監査員は、少なくとも以下の要求を満たし、審査の一部として、認証機関によって、評価されなければならない。
就労経験:少なくとも組織に1年雇用され、2年間の食品産業でのフルタイム就労経験があること
教育:高等教育の修了または、正式なコースが無い場合、食品製造または、製造の輸送と保管、リテール検査または、分野での少なくとも5年の実務経験があること
トレーニング:
i. FSSC22000の内部監査における主任監査員は、FSMS、QMSまたはFSSC22000の40時間の主任審査員コースを修了していなければならない
ii.その他の内部監査員は、内部監査方針、訓練、技術等をカバーする16時間の内部監査コースを修了しなければならない。トレーニングは、資格のある主任監査員または外部のトレーニング機関を通して提供され得ます。
iii.セクターの技術仕様に基づいて、ISO22000、関連する前提条件プログラム(例ISO/TS 22002-x; PAS-xyz)、FSSC追加要求事項をカバーする最低8時間のFSSCスキームトレーニング
d)内部監査報告書は、内部監査で検出された不適合を含み、本社機能によって、テクニカルレビューが実施されなければならない。テクニカルレビュー担当者は、公平であり、FSSCの規範文書(少なくともISO22000,ISO/TS22002-x,PAS-xyz 及びFSSC追加要求事項)を解釈及び適用する能力を持ち、組織のプロセスとシステムに関する知識を保持している必要があります。
e) 内部監査員及びテクニカルレビュー担当者に対して、年次でのパフォーマンス評価及び見定めが実施されなければならない。特定されたフォローアップ活動は、本社機能によって適時、適切に実施されなければならない。

さいごに

いかがでしたでしょうか。盛りだくさんな要求事項の内容ですね。要求事項に対して、どのように対応をすべきか、ポイントとなる点については、別途、解説をしていきます。

リンク:FSSC22000 version5.1 対応のポイント

コメント

タイトルとURLをコピーしました